第189章 追い詰められれば、誰だって反撃する

佐伯薫がそれ以上しつこく絡んでこないのを見て、有川紘樹は理由もなく胸を撫で下ろした。だが背を向けた瞬間、心の底に沈んでいた不安だけは、もう見て見ぬふりができなかった。

この決断を水野佑奈に知られたら、どう思われるか。下手をすれば、裏で何か仕掛けてくるかもしれない。けれど今の有川紘樹には、そんなことまで構っていられない。

選べる道がなかったのだ。守りたい有川グループがあり、恩のある佐伯薫がいる。どちらも、裏切りたくない。

ただ――情報が、ここまで早く回るとは思っていなかった。

川西拓海は以前から佐伯薫の動きを人に追わせていた。有川紘樹が彼女に会いに行ったと知るや否や、すぐさま車を飛ばし...

ログインして続きを読む